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   不動産売却に関する重要な判例 NO.5

売買予約権の譲渡
   裁判年月日 昭和35年11月24日 




   裁判所が判断した事項

   一 仮登記によつて保全された不動産売買予約上の権利の譲渡と対抗要件。

   二 売買予約上の権利の譲渡以前になされた仮差押の効力。



   判決の内容

   一 不動産売買予約上の権利を仮登記によつて保全した場合に、右予約上の権利
    の譲渡を予約義務者その他の第三者に対抗するためには、仮登記に権利移転の
    附記登記をすれば足り、債権譲渡の対抗要件を具備する心要はないと解すべき
    である。

   二 右の場合において、仮登記後附記登記前に第三者により仮差押の登記がなさ
    れたとしても、その後右不動産につき売買予約完結の意思表示がなされ、これ
    に基いて所有権移転の本登記がなされた以上、仮差押債権者はその仮差押をも
    つて所有権取得者に対抗することはできない。





   主文

    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人の負担とする。



   判決の理由

     所論は本件売買予約および売買予約完結権の譲渡が仮装のものであることを
    前提として原判決の違法をいうのである。しかし原審は、訴外株式会社D社と
    訴外Eとの間に本件売買予約がなされたことおよび被上告会社は訴外Eから本
    件売買予約完結権の讓渡を受けたことを認定し、そしてこれらがいずれも上告
    人主張のような仮装のものであると認めるに足る証拠はない旨を判示している
    のであつて、右判断は、挙示の証拠関係に照らし是認できる。所論はひつきよ
    う原審の裁量に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するに帰し、採るを得な
    い。

     同第二点について。

     不動産売買予約上の権利を不動産登記法二条二号の仮登記によつて保全した
    場合に、右予約上の権利の譲渡を予約義務者その他の第三者に対抗するために
    は、仮登記に権利移転の附記登記をなせば足りるのであり、債権譲渡の対抗要
    件を具備する必要はないと解するのが相当である。そして、右附記登記がなさ
    れたときは、その順位は主登記たる仮登記の順位によることとなるのであるか
    ら、仮登記後附記登記前に同一不動産に対し第三者により仮差押の登記がなさ
    れたとしても、その後右不動産につき売買予約完結の意思表示がなされ、これ
    に基いて所有権移転の本登記がなされた以上、右所有権の取得は仮登記の順位
    によつて保全される結果、仮差押債権者の登記は所有権取得者の登記に遅れ、
    これに対抗しえないこととなるのである。

     本件において、原審は、訴外株式会社D社は、昭和二九年一二月二五日頃そ
    の所有の原判示不動産を訴外Eに対し判示約定をもつて売り渡す旨の売買の予
    約をなし、Eの取得した売買予約完結権については、昭和三〇年一月二一日所
    有権移転請求権保全の仮登記がなされたこと、被上告人は同年七月一〇日Eか
    ら右予約完結権を譲り受け、同年八月一七日前記仮登記について権利移転の附
    記登記を経由し、株式会社D社に対し売買予約完結の意思表示をなすとともに
     同日前記仮登記の本登記をしたこと、一方上告人は、株式会社D社に対する貸
    金債権の執行を保全するため、大阪地方裁判所の仮差押決定をえ、その執行と
    して右仮登記後附記登記前である同年八月二日右不動産につき仮差押の登記を
    したことをそれぞれ確定したものであつて、右事実によれば、前記仮登記によ
    つて保全された本件不動産の売買予約上の権利を譲り受け、売買予約完結の意
    思表示をして所有権移転の本登記を了した被上告人は、その登記事項をもつて
    右仮登記後同一不動産について仮差押登記を経由した上告人に対抗しうるもの
    というべく、右と同趣旨の下に、本件不動産に対し上告人のなした仮差押の執
    行の排除を求める被上告人の請求を認容した原判決は正当であり、これと異る
    所論は採るをえない。
     よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文
    のとおり判決する。





   売買予約権の譲渡(参考法令)

   民法556条(売買の一方の予約) 
   1 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買
     の効力を生ずる。 
   2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対
     し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべ
     き旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に
     確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。 


   民法467条(指名債権の譲渡の対抗要件) 
   1 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなけ
     れば、債務者その他の第三者に対抗することができない。 
   2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以
     外の第三者に対抗することができない。 
















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