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   不動産売却に関する重要な判例 NO.18

不動産売買と賃料請求
   裁判年月日 昭和49年03月19日 




   裁判所が判断した事項

    賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件



   判決の内容

    賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないか
   ぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。





   主文

     被上告人の本訴請求中上告人に対し第一審判決添付目録第一記載の宅地につき
    昭和二九年九月一二日大阪法務局江戸堀出張所受付第一二五一四号所有権移転請
    求権保全仮登記に基づく所有権移転登記完了と同時に同第二記載の建物の収去を
    求める部分に関する原判決を破棄し、右破棄部分を大阪高等裁判所に差し戻す。

     上告人のその余の上告を棄却する。
     前項の上告費用は、上告人の負担とする。



   判決の理由

     所論の点に関する原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠に照らして肯認す
    ることができ、その過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原
    審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであつて、採用す
    ることができない。

     同第二点及び第三点について。
     原判決は、訴外Dは昭和二五年四月原審控訴人Eから第一審判決添付目録第一
    記載の宅地(以下本件宅地という。)を買い受けたがその所有権移転登記をしな
    かつたところ、昭和二九年三月本件宅地を被上告人に売り渡したが、その所有権
    移転登記は中間を省略してEから直接被上告人に対してされる旨の合意が右三者
    間に成立し、被上告人は同年九月一二日主文第一項記載の仮登記を経由したこと
    一方、上告人は本件宅地上に右目録第二記載の建物(以下本件建物という。)を
    所有しているが、そのうち家屋番号a番のb、c木造瓦葺二階建店舗一棟床面積
    一階七坪六合九勺、二階七坪九勺については昭和二七年七月四日これを他から買
    い受けるとともに、当時本件宅地の所有者であつたDから本件宅地を建物所有の
    目的のもとに賃借し、右建物につき同月五日所有権移転登記を経由したこと、被
    上告人は昭和四六年六月一五日到達の書面をもつて上告人に対し昭和二九年九月
    一四日以降昭和四六年五月末日までの賃料を四日以内に支払うよう催告し、上告
    人がこれに応じなかつたので、同年六月二一日到達の書面をもつて上告人に対し
    賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたことを、それぞれ確定したうえ、右賃
    貸借契約は同日解除されたとして、被上告人が土地所有権に基づき主文第一項の
    所有権移転登記完了と同時に上告人に対して本件建物の収去を求める本訴請求を
    認容したものである。

     しかしながら、本件宅地の賃借人としてその賃借地上に登記ある建物を所有す
    る上告人は本件宅地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者であるから、
    民法一七七条の規定上、被上告人としては上告人に対し本件宅地の所有権の移転
    につきその登記を経由しなければこれを上告人に対抗することができず、したが
    つてまた、賃貸人たる地位を主張することができないものと解するのが、相当で
    ある(大審院昭和八年(オ)第六〇号同年五月九日判決・民集一二巻一一二三頁
    参照)。

     ところで、原判文によると、上告人が被上告人の本件宅地の所有権の取得を争
    つていること、また、被上告人が本件宅地につき所有権移転登記を経由していな
    いことを自陳していることは、明らかである。それゆえ、被上告人は本件宅地に
    つき所有権移転登記を経由したうえではじめて、上告人に対し本件宅地の所有権
    者であることを対抗でき、また、本件宅地の賃貸人たる地位を主張し得ることと
    なるわけである。したがつて、それ以前には、被上告人は右賃貸人として上告人
    に対し賃料不払を理由として賃貸借契約を解除し、上告人の有する賃借権を消滅
    させる権利を有しないことになる。そうすると、被上告人が本件宅地につき所有
    権移転登記を経由しない以前に、本件宅地の賃貸人として上告人に対し賃料不払
    を理由として本件宅地の賃貸借契約を解除する権利を有することを肯認した原判
    決の前示判断には法令解釈の誤りがあり、この違法は原判決の結論に影響を与え
    ることは、明らかである。

     したがつて、この点に関する論旨は理由があるから、その余の論旨について判
    断を示すまでもなく、原判決中本判決主文第一項掲記の部分は破棄を免れない。
    そして、右部分につきなお審理の必要があるから、これを原審に差し戻すのが相
    当である。

     よつて、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、
    裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。





   不動産売買と賃料請求(参考法令)

   民法177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件) 
   1 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百
     二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしな
     ければ、第三者に対抗することができない。


   民法605条(不動産賃貸借の対抗力) 
   1 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を
     取得した者に対しても、その効力を生ずる。 
















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