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   不動産売却に関する重要な判例 NO.25

実体に符号する登記の抹消
   裁判年月日 昭和42年10月27日 




   裁判所が判断した事項

    偽造文書によつて登記がされた場合において登記原因たる法律行為を追認した本
   人からするその抹消登記手続の請求の許否



   判決の内容

    無権代理人の偽造文書による申請に基づいて登記がされた場合においても、本人
   が右登記の原因たる法律行為を追認したことによりその登記の記載が実体的法律関
   係に符合するにいたつたときには、本人は、右登記の無効を主張してその抹消登記
   手続を請求することはできない。





   主文

    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人の負担とする。



   判決の理由

     本件売買代金の中金五〇〇万円を準消費貸借とし、その支払確保のため本件抵
    当権の設定がされた旨の事実が原審の口頭弁論において主張されていることは、
    原判決および一件記録から明らかであり、かつ、原判決挙示の証拠によれば、所
    論の点の原判決の認定した事実を肯認することができる。
     原判決には所論のような違法はなく、所論は採用しがたい。

     同二について。
     原判決挙示の証拠によれば、所論の点についての原判決の事実判断は正当とし
    て是認することができる。
     原判決には、所論のような違法はなく、所論は、結局、原審の専権に属する証
    拠の取捨・選択、事実の認定を非難するに帰し、採用しがたい。

     同三について。
     共同買受人としての責任がある旨の主張というのは、要するに、買受人の責任
    を負う者が複数いるという事実を主張していることであるから、原審が右買受人
    が一名すなわちDのみであると認定することは、なんら、弁論主義に違反するも
    のではない。また、所論の甲第三号証の作成の動機についての事実は、いわゆる
    間接事実にすぎないから、当事者の主張を経ないで認定しても、違法とはいえな
    い。そして、原判決挙示の証拠によれば、所論の点について原判決の認定した事
    実を十分肯認することができる。原判決には、所論のような違法はなく、所論は
    採用しがたい。

     同四および五について。
     所論の点の原判決の事実判断は、挙示の証拠関係に照らし、正当として是認す
    ることができる。
     所論は、原審の専権に属する証拠の取捨・選択、事実の認定を非難するに帰し
    採用しがたい。

     同六について。
     一件記録および原判決の事実摘示によれば、所論の事実が主張されていること
    は明らかであり、また、原判決の判示したところは、Eがした昭和三三年五月二
    三日の本件抵当権設定契約を追認したものであることは、判文上明らかである。
     原判決には、所論のような違法はなく、所論は、採用しがたい。

     同七について。
     一件記録によると、所論の準備書面は、原審における口頭弁論期日において陳
    述されなかつたことが認められるから、原審が所論の点について判断しなかつた
    のは当然である。
     原判決には、所論のような違法はない。

     同八について。
     所論は、原審の専権に属する事実判断を非難するに帰し、採用しがたい。

     上告代理人青山義武の上告理由第一点について。
     原判決が、その挙示の証拠により、適法に認定したところによると、本件抵当
    権設定契約は、昭和三三年五月Eが上告人の印顆をほしいままに使用して、被上
    告人と締結し、かつ、抵当権設定登記申請手続をして、本件抵当権設定登記をし
    たが、同年一〇月はじめ、被上告人、上告人らが集つて協議の結果、上告人らに
    おいて被上告人ないしF事業協同組合に対し金四八〇万円の支払義務の存するこ
    とを認め、もしその支払のないときは右Eが上告人らに無断で被上告人のために
    設定した本件抵当権設定契約を認めこれにもとづいて実行がされても異議がない
    ことを約して、上告人はEのその無権代理行為を追認した旨の原審の事実判断は
    正当としてこれを是認することができる。
     そして、本人名義の偽造文書によつて無権代理人が抵当権設定登記手続をし、
    その旨の登記がされたとしても、本人たる登記義務者において、その抵当権設定
    行為を追認したことにより、右抵当権の設定登記の記載が実体上の権利関係と符
    合するようになつたときには、その結果、右登記義務者は、その登記をすること
    を拒みうるような事情がなくなつたものというべきであつて、その抵当権の設定
    登記の無効を主張することができないと解するのが相当である。
     したがつて、前記の事実関係のもとにおいて、上告人は本件抵当権の設定登記
    を抹消しえない旨を判示した原判決の結論は、結局において、正当である。
     原判決には所論のような違法はなく、所論は採用しがたい。

     同第二点について。
     原判決の認定した事実の肯認しうることは、上告代理人鈴木敏夫の上告理由に
    対する判断において示したとおりであり、原判決には所論のような違法はなく、
    所論は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨・選択、事実の認定を非難するに
    帰し採用しがたい。
     よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文
    のとおり判決する。





   登記の抹消(参考法令)

   民法177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件) 
   1 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百
     二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなけ
     れば、第三者に対抗することができない。


   民法116条(無権代理行為の追認) 
   1 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を
     生ずる。
     ただし、第三者の権利を害することはできない。 


   不動産登記法25条(申請の却下) 
   1 登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しな
     ければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである
     場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したとき
     は、この限りでない。 
   一  申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。 
   二  申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含
     む。)以外の事項の登記を目的とするとき。 
   三  申請に係る登記が既に登記されているとき。 
   四  申請の権限を有しない者の申請によるとき。 
   五  申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規
     定により定められた方式に適合しないとき。 
   六  申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致し
     ないとき。 
   七  申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十七条、第八十九条第
     一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第
     九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第
     二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登
     記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。 
   八  申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致
     しないとき。 
   九  第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しく
     はその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものと
     されている情報が提供されないとき。 
   十  第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。 
   十一  表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登
     記官の調査の結果と合致しないとき。 
   十二  登録免許税を納付しないとき。 
   十三  前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定め
     るとき。 
















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