相続と不動産売却の専門事務所。相続・法律・不動産の専門家が不動産売却を安全にサポートします。





   不動産売却に関する重要な判例 NO.29

借地権売買と売主の責任
   裁判年月日 平成3年04月02日 




   裁判所が判断した事項

    敷地賃借権付き建物の売買における敷地の欠陥と売買目的物の隠れた瑕疵



   判決の内容

    建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、賃貸人が修繕義
   務を負担すべき敷地の欠陥は、売買の目的物の隠れた瑕疵ではない。





   主文

    原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
    前項の部分につき被上告人の控訴を棄却する。
    控訴費用及び上告費用は、被上告人の負担とする。



   判決の理由


   一 原審は、(一) 被上告人は、昭和五五年三月二〇日、上告人から本件建物の所
    有権及び本件借地権(本件建物敷地の賃借権)を買い受け、代金六五〇万円を支
    払った、(二)本性土地は、南側が幅員六メートルの公道に接し、北側は高さ
    約四・四メートルの崖に臨む地形となっていた、(三) 本件土地北側の崖は、基
    部が高さ二メートル弱のコンクリート擁壁で、その上に高さ約二・四メートルの
    大谷石の擁壁が積み上げられたいわゆる二段腰の構造となっていた、(四) 昭和
    五六年一〇月二二日、台風に伴う大雨により、右擁壁(以下「本件擁壁」という。)
    に傾斜、亀裂を生じ、崖上の本件土地の一部に沈下及び傾斜が生じ、構造耐力上
    及び保安上著しく危険な状態となったため、同年一一月四日、東京都北区長は、
    本件土地所有者らに対して、本件擁壁の新規築造又は十分な改修補強等、安全上
    必要な措置を早急に採るよう文書をもって勧告した、(五) そのころ、被上告人
    も本件土地所有者らに対して同様の申入れをしたが、本件土地所有者らが何らの
    措置も採らなかったので、被上告人は、本件建物の倒壊の危険を避けるため、や
    むなく、これを取り壊した、(六) 被上告人は、上告人に対して、昭和五七年七
    月三一日到達の書面により、民法五七〇条、五六六条一項の規定に基づき本件売
    買契約を解除する旨の意思表示をした、(七) 本件擁壁がこのような状態となっ
    たのは、擁壁に通常設けられるべき水抜き穴が設けられていなかったため、土中
    に含まれた雨水の圧力が加わり、大谷石の擁壁がこれに耐えきれなかったことに
    よるが、被上告人が本件借地権と本件建物を買い受けた際、本件擁壁の右横造的
    欠陥について何の説明も受けず、水抜き穴の欠如がこのような重大な結果をもた
    らすことに全く想到し得なかったことは、通常人として無理からぬことであった、
    との各事実を適法に確定した上、右事実関係の下において、借地権付建物の買主
    が当該売買契約当時知らなかった事情によりその土地に建物を維持することが物
    理的に困難であるということが事後に判明したときは、その借地権には契約上当
    然に予定された性能を有しない隠れた瑕疵があったものといわざるを得ず、これ
    により建物所有という所期の目的を達し得ない以上、借地権付建物の買主は、民
    法五七〇条、五六六条一項により売買契約を解除することができるとして、上告
    人は被上告人に対して、本件売買代金六五〇万円、本件売買に伴い支出した登記
    費用及び建物火災保険料の金額の合計額並びにこれに対する昭和五七年一〇月一
    六日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うよう命じた。

   二 しかし、原審の右判断は、これを是認することができない。その理由は、次の
    とおりである。
     すなわち、建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右
    敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に
    存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があると
    いうことはできない。けだし、右の場合において、建物と共に売買の目的とされ
    たものは、建物の敷地そのものではなく、その賃借権であるところ、敷地の面積
    の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観
    的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは
    建物と共に売買の目的とされた賃借権に瑕疵があると解する余地があるとしても
    賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき敷地の欠陥については、賃貸人に
    対してその修繕を請求すべきものであって、右敷地の欠陥をもって賃貸人に対す
    る債権としての賃借権の欠陥ということはできないから、買主が、売買によって
    取得した賃借人たる地位に基づいて、賃貸人に対して、右修繕義務の履行を請求
    し、あるいは賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があるとして瑕疵担保責任を追求する
    ことは格別、売買の目的物に瑕疵があるということはできないのである。なお、
    右の理は、債権の売買において、債務の履行を最終的に担保する債務者の資力の
    欠如が債権の瑕疵に当たらず、売主が当然に債務の履行について担保責任を負担
    するものではないこと(民法五六九条参照)との対比からしても、明らかである。

     これを本件についてみるのに、前記事実関係によれば、本件土地には、本件擁
    壁の構造的欠陥により賃貸借契約上当然に予定された建物敷地としての性能を有
    しないという点において、賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があったとすることは格
    別(民法五五九条、五七〇条)、売買の目的物に瑕疵があったものということは
    できない。

   三 そうすると、賃貸借の目的物たる土地の瑕疵をもって、建物と共に売買の目的
    とされた賃借権の瑕疵であるとして、本件売買に民法五七〇条の規定を適用して、
    その契約の解除を認め、上告人に対して原状回復及び損害賠償の支払を命じた原
    審の判断には、同条の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決に影響を及ぼ
    すことが明らかであるから、この趣旨をいう論旨は理由があり、原判決は破棄を
    免れない。そして、右説示に徴すれば、被上告人の請求は棄却すべきものであり、
    これと同旨に出た第一審判決は正当であり、被上告人の控訴は棄却すべきもので
    ある。

     よって、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条に従い、裁判
    官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。





   借地権売買と売主の責任(参考法令)

   民法569条(債権の売主の担保責任) 
   1 債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保し
     たものと推定する。 
   2 弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期
     における資力を担保したものと推定する。 


   民法570条(売主の瑕疵担保責任) 
   1 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。
     ただし、強制競売の場合は、この限りでない。 
















不動産取引サポート
みなみホームサービス
Copyright(C)2011.All rights reserved


                             page借地権売買と売主の責任












不動産売却の手続の流れ

土地売却にかかる税金

土地売却の査定方法

不動産売却の諸費用

不動産売却の必要書類

相続不動産の売却方法

不動産専門家ネットワーク

ホーム・新着情報




 (みなみホームサービス)



不動産の譲渡所得税

売買契約書の印紙税

登記の登録免許税

固定資産税

不動産と消費税

居住用財産3000万控除

不動産取得税

居住用財産の買換え

都市計画税

居住用財産の損失繰越



不動産取引と成年後見

詐欺取消しと第三者

売買交渉中の契約解除

不動産取引と銀行の責任

売買予約権の譲渡

手付契約・解約手付

売買予約と解除

不動産売買と所有権移転

賃貸不動産の譲渡と敷金

遺産分割と登記

遺言と登記

時効完成前の譲渡

不動産の不法占拠者

時効完成後の譲渡

不動産売買と賃料請求

虚偽の登記と黙認

不動産売買と登記の効力

虚偽登記の所有者責任

借地権の対抗力

手付と解除

借地権の対抗力2

手付解除の要件

借地権の対抗力3

登記の抹消

借地権売買と売主の責任

面積不足と代金減額

瑕疵担保責任の消滅時効

面積超過と代金増額

契約外の材料と建物瑕疵

他人の不動産の売買

建物の瑕疵と損害賠償

買戻特約と譲渡担保

譲渡担保と受戻し

宅建業者の報酬

司法書士の義務

袋地の通行権

マンションの共用部分

農地の売買

マンション駐車場の権利

農地法の許可

マンションの専有部分



不動産購入の手続の流れ

相続と登記

駐車場の使用権

みなみホームサービス

不動産法律相談のご案内

権利書を紛失した時の対処


みなみホームサービスは、親
 切、丁寧なサ-ビスをご提供し
 ます。ご相談及び各手続は当
 事務所の専門家が行います
 ので安心です。



当事務所は、東京都墨田区
 錦糸町に事務所をおき、主に
 墨田区、江東区、東京都、
 埼玉県、千葉県、神奈川県に
 て営業しています。また、上記
 以外の地区にも出張可能で
 すので、遠方にお住まいの方
 もお気軽にお問合せ下さい。