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   不動産売却に関する重要な判例 NO.30

瑕疵担保責任の消滅時効
   裁判年月日 平成13年11月27日 




   裁判所が判断した事項

    瑕疵担保による損害賠償請求権と消滅時効



   判決の内容

    瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用がある





   主文

    原判決を破棄する。
    本件を東京高等裁判所に差し戻す。



   判決の理由

   1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
   (1)昭和48年2月18日,被上告人は,上告人から,第1審判決添付物件目録
    一記載の土地(以下「本件宅地」という。)及びその地上建物等を買い受け,そ
    の代金を支払った。同年5月9日,本件宅地につき上告人から被上告人への所有
    権移転登記がされ,そのころ,被上告人は上告人からその引渡しを受けた。

   (2)本件宅地の一部には,柏市昭和47年10月27日第157号をもって道路
    位置指定がされている。このため,本件宅地上の建物の改築に当たり床面積を大
    幅に縮小しなければならないなどの支障が生ずるので,道路位置指定がされてい
    ることは,民法570条にいう「隠レタル瑕疵」に当たる。

   (3)被上告人は,平成6年2月ないし3月ころ,上記道路位置指定の存在を初め
    て知り,同年7月ころ,上告人に対し,道路位置指定を解除するための措置を講
    ずるよう求め,それができないときは損害賠償を請求する旨を通知した。

   2 本件は,被上告人が上告人に対して瑕疵担保による損害賠償を求めた事案であ
    る。上告人は,被上告人の損害賠償請求権は時効により消滅したと主張し,本訴
    において消滅時効を援用した。原審は,次のとおり判示して上告人の消滅時効の
    抗弁を排斥し,被上告人の損害賠償請求を一部認容した。
     売主の瑕疵担保責任は,法律が買主の信頼保護の見地から特に売主に課した法
    定責任であって,売買契約上の債務とは異なるから,これにつき民法167条1
    項の適用はない。また,同法570条,566条3項が除斥期間を定めているの
    は,責任の追及を早期にさせて権利関係を安定させる趣旨を含むものであるが,
    他方で,その期間の起算点を「買主カ事実ヲ知リタル時」とのみ定めていること
    は,その趣旨が権利関係の早期安定だけでないことを示しているから,瑕疵担保
    による損害賠償請求権に同法167条1項を準用することも相当でない。このよ
    うに解さないと,買主が瑕疵の存在を知っているか否かを問わずに損害賠償請求
    権の時効消滅を認めることとなり,買主に対し売買の目的物を自ら検査して瑕疵
    を発見すべき義務を負わせるに等しく,必ずしも公平といえない。

   3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次の
    とおりである。

   (1)買主の売主に対する瑕疵担保による損害賠償請求権は,売買契約に基づき法
    律上生ずる金銭支払請求権であって,これが民法167条1項にいう「債権」に
    当たることは明らかである。この損害賠償請求権については,買主が事実を知っ
    た日から1年という除斥期間の定めがあるが(同法570条,566条3項),
    これは法律関係の早期安定のために買主が権利を行使すべき期間を特に限定した
    ものであるから,この除斥期間の定めがあることをもって,瑕疵担保による損害
    賠償請求権につき同法167条1項の適用が排除されると解することはできない。
    さらに,買主が売買の目的物の引渡しを受けた後であれば,遅くとも通常の消滅
    時効期間の満了までの間に瑕疵を発見して損害賠償請求権を行使することを買主
    に期待しても不合理でないと解されるのに対し,瑕疵担保による損害賠償請求権
    に消滅時効の規定の適用がないとすると,買主が瑕疵に気付かない限り,買主の
    権利が永久に存続することになるが,これは売主に過大な負担を課するものであ
    って,適当といえない。

     したがって,瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり
    この消滅時効は,買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解する
    のが相当である。

   (2)本件においては,被上告人が上告人に対し瑕疵担保による損害賠償を請求し
    たのが本件宅地の引渡しを受けた日から21年余りを経過した後であったという
    のであるから,被上告人の損害賠償請求権については消滅時効期間が経過してい
    るというべきである。

   4 以上によれば,消滅時効の抗弁を排斥した原審の判断には,判決に影響を及ぼ
    すことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,その余の論旨について
    判断するまでもなく,原判決は破棄を免れない。そして,上告人による消滅時効
    の援用が権利の濫用に当たるとの被上告人の再抗弁等について更に審理を尽くさ
    せるため,本件を原審に差し戻すこととする。

     よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。





   瑕疵担保責任の消滅時効(参考法令)

   民法167条(債権等の消滅時効) 
   1 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 
   2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。 


   民法566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任) 
   1 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合
     において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達するこ
     とができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合にお
     いて、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをするこ
     とができる。 
   2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存し
     なかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について
     準用する。 
   3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知っ
     た時から一年以内にしなければならない。 


   民法570条(売主の瑕疵担保責任)
   1 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。
     ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
















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