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   不動産売却に関する重要な判例 NO.34

譲渡担保と受戻し
   裁判年月日 平成6年02月22日 




   裁判所が判断した事項

    譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合における受戻
   しの許否



   判決の内容

    譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担
   保を設定した債務者は、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであると否と
   にかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。





   主文

    原判決中、上告人敗訴の部分を破棄する。
    前項の部分につき、本件を高松高等裁判所に差し戻す。



   判決の理由

   一 原審は、(1) 被上告人Bは昭和三二年三月二一日までに、Dから五二万円を
    同月から昭和四〇年一〇月二一日まで毎月二一日限り五〇〇〇円ずつ返済すると
    の約定で借り受け、その担保のため、自己所有の第一審判決別紙物件目録記載(一)
    の土地及び同(二)の建物(以下「本件建物」という)の所有権をDに移転し、贈
    与を原因とする所有権移転登記を経由したが、昭和三八年五月以降その返済を怠
    った、

   (2) Dは昭和五四年八月二九日、前記土地及び本件建物を上告人に贈与し、同月
    三一日その旨の所有権移転登記を経由した、(3) 被上告人Bは昭和五六年八月
    二〇日、残元金及び同日までの遅延損害金を供託した、との事実を確定した。

   二 上告人は、Dからの贈与により本件建物の所有権を取得したとして、所有権に
    基づいて本件建物の明渡しを請求するものであるが、原審は、債権者が弁済期後
    に譲渡担保の目的不動産を第三者に譲渡した場合であっても、譲受人がいわゆる
    背信的悪意者であるときは、債務者はその清算が行われるまでは債務を弁済して
    目的不動産を受け戻すことができ、その所有権をもって登記なくして譲受人に対
    抗することができるところ、上告人は背信的悪意者に当たるから、被上告人Bは
    右の供託によって本件建物を受け戻し、その所有権をもって上告人に対抗するこ
    とができると判断して、上告人の請求を棄却した。

   三 しかしながら、不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に
    債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型
    であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得するから、
    債権者がこの権能に基づいて目的物を第三者に譲渡したときは、原則として、譲
    受人は目的物の所有権を確定的に取得し、債務者は、清算金がある場合に債権者
    に対してその支払を求めることができるにとどまり、残債務を弁済して目的物を
    受け戻すことはできなくなるものと解するのが相当である(最高裁昭和四六年
    (オ)第五〇三号同四九年一〇月二三日大法廷判決・民集二八巻七号一四七三頁、
    最高裁昭和六〇年(オ)五六八号同六二年二月一二日第一小法廷判決・民集四一
    巻一号六七頁参照)。この理は、譲渡を受けた第三者がいわゆる背信的悪意者に
    当たる場合であっても異なるところはない。けだし、そのように解さないと、権
    利関係の確定しない状態が続くばかりでなく、譲受人が背信的悪意者に当たるか
    どうかを確知し得る立場にあるとは限らない債権者に、不測の損害を被らせるお
    それを生ずるからである。したがって、前記事実関係によると、被上告人Bの債
    務の最終弁済期後に、Dが本件建物を上告人に贈与したことによって、被上告人
    Bは残債務を弁済してこれを受け戻すことができなくなり、上告人はその所有権
    を確定的に取得したものというべきである。これと異なる原審の判断には、法令
    の解釈を誤った違法があり、右の違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明ら
    かである。

     論旨は理由があり、その余の上告理由について判断するまでもなく、原判決中
    上告人敗訴の部分は破棄を免れず、本件については、被上告人らの清算金との引
    換給付を求める旨の主張等その余の抗弁について更に審理を尽くさせるため原審
    に差し戻すこととし、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主
    文のとおり判決する。





   譲渡担保と受戻し(参考法令)


   民法579条(買戻しの特約) 
   1 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った
     代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合に
     おいて、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の
     利息とは相殺したものとみなす。 
















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