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   不動産売却に関する重要な判例 NO.37

袋地の通行権
   裁判年月日 平成2年11月20日 




   裁判所が判断した事項

    民法二一三条の囲繞地通行権の対象地の特定承継と当該通行権の帰すう



   判決の内容

    民法二一三条の規定する囲繞地通行権は、通行の対象となる土地に特定承継が生
   じた場合にも消滅しない。





   主文

    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人の負担とする。



   判決の理由

     所論の点に関する原審の認定判断は、東京都大田区ab丁目)c、d及びeの
    各土地(いずれも旧地番による表示。以下、右各土地を「旧地番の土地」とい
    う。)の昭和一六年四月当時の権利関係を除き、原判決挙示の証拠関係に照らし
    て、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。また、右認
    定事実によれば、旧地番の土地は、一筆の土地(同所d)として合筆された昭和
    三五年九月当時、訴外Dが所有していたものであることが明らかであるから、D
    が昭和一六年四月当時から旧地番の土地を所有していたのか否かは、原判決の結
    論を左右するものではない。論旨は、原判決の結論に影響を及ぼさない部分につ
    いてその違法をいうか、又は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を
    非難するものにすぎず、採用することができない。

     同第二点について
     共有物の分割又は土地の一部譲渡によって公路に通じない土地(以下「袋地」
    という。)を生じた場合には、袋地の所有者は、民法二一三条に基づき、これを
    囲繞する土地のうち、他の分割者の所有地又は土地の一部の譲渡人若しくは譲受
    人の所有地(以下、これらの囲繞地を「残余地」という。)についてのみ通行権
    を有するが、同条の規定する囲繞地通行権は、残余地について特定承継が生じた
    場合にも消滅するものではなく、袋地所有者は、民法二一〇条に基づき残余地以
    外の囲繞地を通行しうるものではないと解するのが相当である。けだし、民法二
    〇九条以下の相隣関係に関する規定は、土地の利用の調整を目的とするものであ
    って、対人的な関係を定めたものではなく、同法二一三条の規定する囲繞地通行
    権も、袋地に付着した物権的権利で、残余地自体に課せられた物権的負担と解す
    べきものであるからである。残余地の所有者がこれを第三者に譲渡することによ
    って囲繞地通行権が消滅すると解するのは、袋地所有者が自己の関知しない偶然
    の事情によってその法的保護を奪われるという不合理な結果をもたらし、他方、
    残余地以外の囲繞地を通行しうるものと解するのは、その所有者に不測の不利益
    が及ぶことになって、妥当でない。

     これを本件についてみるに、原審の適法に確定した事実関係によれば、(一)
    Dは、昭和三五年九月、訴外E名義で所有していた旧地番の土地を合筆して一筆
    の土地とした上、これをdの土地とfの土地とに分筆し、同月二九日、dの土地
    を上告人に売り渡し(以下、同土地を「上告人所有地」という。)、その旨の所
    有権移転登記を経由した、(二) Dは、昭和三六年四月一七日、gの土地を訴外
    Fに売り渡し、その旨の所有権移転登記を経由した、(三) 上告人所有地は袋地
    であるが、それは、前記のとおりのDによる旧地番の土地の合筆、分筆後の譲渡
    によるものである、というのであって、右の事実関係のもとにおいて、(1) 上
    告人は、上告人所有地を買い受けた時点で、いまだDの所有であったgの土地に
    ついて囲繞地通行権を取得した、(2) 袋地のための囲繞地通行権を受忍すべき
    義務は、いわば残余地自体の属性ともいうべきもので、その譲渡によって譲受人
    にそのまま承継され、袋地所有者は、残余地以外の囲繞地に対して民法二一〇条
    一項の規定による囲繞地通行権を主張することができない、(3) 上告人は、F
    がgの土地を買い受けた後においても、同土地を通行する権利を有し、上告人所
    有地を囲繞する被上告人らの所有する原判決添付物件目録一の2記載の本件通路
    部分について囲繞地通行権を行使することができない、とした原審の判断は、正
    当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解
    に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

     同第三点ないし第五点について
     所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして、正当
    として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権
    に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原
    判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

     よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官園部逸夫の反対意見
    があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

     裁判官園部逸夫の反対意見は、次のとおりである。
     私は、上告理由第二点についての多数意見に賛成することができず、原判決は
    破棄を免れないと考える。その理由は、次のとおりである。

     民法二一〇条以下に規定する囲繞地通行権は、土地の利用の調整を目的とする
    ものであるが、或る土地が他の土地に囲繞されて公路に通じないという土地の物
    理的な属性のみを考慮して定められたものではない。例えば、袋地所有者が囲繞
    地通行権を取得した後、被通行地以外の囲繞地を所有するに至った場合には、従
    前の被通行地についての囲繞地通行権は消滅すると解すべきものであって、袋地
    と囲繞地の各所有者がなんぴとであるのかという対人的な要素をも考慮して定め
    られているというべきである。

     民法二一三条は、共有物の分割又は土地の一部譲渡により公路に通じない袋地
    を生じた場合に、袋地所有者が残余地についてのみ囲繞地通行権を有する旨を規
    定するが、同条が民法二一〇条一項の例外的な規定であることに加えて、囲繞地
    通行権が土地の物理的な属性のほか、対人的な要素をも考慮して定められている
    ことにかんがみれば、民法二一三条は、残余地が共有物の分割又は土地の一部譲
    渡をした当時の所有者の所有に属する限りにおいて、袋地所有者が残余地を無償
    で通行しうる旨を規定したに止まり、残余地が当時の所有者から第三者に譲渡さ
    れるなどして、その特定承継が生じた場合には、同条の規定する囲繞地通行権は
    消滅し、民法二一〇条一項の規定する囲繞地通行権を生ずるものと解するのが相
    当である。

     多数意見は、右のとおりに解すべきものとすれば、袋地所有者が自己の関知し
    ない偶然の事情によってその法的保護を奪われるという不合理な結果をもたらし
    他方、残余地以外の囲繞地の所有者に不測の不利益が及ぶことになって、妥当で
    ないというが、民法二一三条の規定する囲繞地通行権が残余地の特定承継によっ
    て消滅するとしても、特定承継を生ずる前、既に袋地所有者が残余地を通行して
    いるなどの事情があれば、袋地所有者のために必要にして、かつ、囲繞地のため
    に損害が最も少ない通行の場所及び方法として、従前の残余地を選ぶべきものと
    解されるから、多数意見の批判はあたらないというべきである。かえって、共有
    物の分割又は土地の一部譲渡によって公路に通じない袋地が生じたにもかかわら
    ず、袋地所有者が残余地を現に通行することもなく、また、残余地の所有者と通
    行のために折衝することも、囲繞地通行権を主張することもなく推移してきたと
    いうような事情がある場合にも、その後に残余地の所有権を取得した第三者が囲
    繞地通行権を当然に受忍しなければならないというのも不合理である上、他方、
    第三者が袋地所有者の残余地の通行を権利の濫用に当たるなどとして拒絶しうる
    というのも、袋地の効用を図るべく囲繞地通行権を規定した民法の趣旨に照らし
    て妥当なものではない。

     以上と異なる見解のもとに、上告人は、上告人所有地を買い受けた時点におい
    て、その一部譲渡がされる前の一筆の土地の残余地でいまだDの所有であったg
    の土地について民法二一三条二項の規定する囲繞地通行権を取得したものであ
    るから、Fがgの土地を買い受けた後においても、同土地のみを通行する権利を
    有し、被上告人らの所有にかかる本件通路部分に対して民法二一〇条一項の規定
    による囲繞地通行権を主張することができないとした原審の判断は、民法二一〇
    条一項、二一三条二項の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決に影響を及
    ぼすことが明らかである。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして
    以上によれば、上告人が上告人所有地から公路に至る通行の場所及び方法として
    本件通路部分が上告人のために必要にして、かつ、被上告人らの囲繞地の所有者
    のために最も損害が少ないものであるのか否かにつき更に審理を尽くさせる必要
    があるから、本件を原審に差し戻すのが相当である。





   袋地の通行権(参考法令)

   民法210条(公道に至るための他の土地の通行権) 
   1 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土
     地を囲んでいる他の土地を通行することができる。 
   2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、
     又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。 


   民法211条
   1 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者
     のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばな
     ければならない。 
   2 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設するこ
     とができる。 


   民法212条
   1 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に
     対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損
     害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。 


   民法213条
   1 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道
     に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合にお
     いては、償金を支払うことを要しない。 
   2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用
     する。 





















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