相続と不動産売却の専門事務所。相続・法律・不動産の専門家が不動産売却を安全にサポートします。





   不動産売却に関する重要な判例 NO.40

駐車場の使用権
   裁判年月日 平成10年10月22日 




   裁判所が判断した事項

    マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた
   事例



   判決の内容

    マンション分譲業者が、マンションの分譲に伴い、区分所有者の共有となるべき
   マンション敷地の一部に駐車場を設け、マンション購入者のうち駐車場の使用を希
   望する者に対して右駐車場の専用使用権を分譲し、その対価を受領した場合におい
   て、分譲業者が営利の目的に基づき自己の利益のために専用使用権を分譲したもの
   であり、専用使用権の分譲を受けた区分所有者もこれと同様の認識を有していたな
   ど判示の事情の下においては、分譲業者が区分所有者全員の委任に基づきその受任
   者として専用使用権の分譲を行った等と解することはできず、右対価は、専用使用
   権分譲契約における合意の内容に従って分譲業者に帰属すべきものである。





   主文

    原判決を破棄し、第一審判決中、被上告人の予備的請求に関する部分を取り消す。
    被上告人の予備的請求を棄却する。
    訴訟の総費用は被上告人の負担とする。



   判決の理由

   一 本件は、マンション分譲業者である上告人が、マンションを分譲するに際し、
    区分所有者の共有となるべきマンション敷地の一部に駐車区画(以下「駐車場」
    という。)を設け、建物専有部分の区分所有権及び敷地の共有持分とは別に、マ
    ンションの購入者(以下「購入者」という。)のうち駐車場の使用を希望する者
    に対して右駐車場の専用使用権(以下、原則として「専用使用権」という。)を
    分譲して対価を受領したため、この対価が分譲業者とマンション管理組合のいず
    れに帰属すべきものかをめぐって争われている事案である。マンション管理組合
    の管理者である被上告人は、主位的に不当利得返還請求権に基づき、予備的に委
    任契約における受任者に対する委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき、上告
    人に対して右対価の返還又は引渡しを請求したところ、第一審は、右予備的請求
    を認容し、原審も、第一審の判断を正当として上告人の控訴を棄却した。

     原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
   1 上告人は、マンション分譲業者であるが、昭和六三年七月ないし同年一一月に
    本件マンションについて建物専有部分の区分所有権及び本件敷地の共有持分を分
    譲販売した。本件マンションの専有部分の建物戸数は、三二戸(うち一戸は未登
    記)である。

   2 本件敷地は、本件マンションの区分所有者がその所有する建物専有部分の床面
    積の割合に応じて共有している。

   3 上告人は、本件マンションを分譲販売するに際して、本件敷地の一部(空き
    地部分)に二五区画の駐車場を設け、駐車場の使用を希望する購入者に対し、本
    件マンションの分譲とは別に、専用使用権を一区画八○万円ないし一一○万円で
    分譲し、合計二四四〇万円を受領した。

   4 本件マンションの管理委託契約書には、購入者は、上告人に本件マンションの
    管理等を委託するが、上告人は、本件マンション竣工後六箇月以内、又は入居者
    が八○パーセント以上となったとき、建物の区分所有等に関する法律に基づいて
    区分所有者全員で構成する管理組合に管理業務を引き継ぎ、管理委託契約を解除
    する旨が規定されている。

   5 本件マンションの土地付区分建物売買契約書には、「売買代金は、駐車場対価
    としての代金○○円也を含む。」(一条)、「本件マンションの買主は、本件敷
    地の一部を駐車場として特定の区分所有者に専用使用させることを認諾する。専
    用使用権を取得する買主は、専用使用に当たり、別に定める費用を支払わなけれ
    ばならない。」(九条)との趣旨の規定がある。右一条の駐車場対価としての代
    金欄には、専用使用権を取得する者については具体的な金額が記入され、それ以
    外の者については空欄とされた。

   6 購入者に対して交付された重要事項説明書には、「専用使用権に関する規約等
    の定め」として、「駐車場」の欄に、「専用使用をし得る者 特定区分所有者」、 
    「専用使用共益費の有無 有り・一区画当たり一箇月五〇〇円」、「専用使用共
    益費の帰属先等管理組合」との記載がある。

   7 上告人が作成した本件マンションの管理規約案にも、区分所有者は、特定の区
    分所有者がバルコニー、駐車場、屋上テラス等につき専用使用権を有することを
    承認する旨の条項がある。右管理規約案は、後に区分所有者全員に承認され、管
    理規約として成立した。

   二 原審は、右事実関係の下において、要旨、次のとおり判断して、被上告人の予
    備的請求を認容すべきものとした。

   1 本件マンションの分譲に際し、購入者は、専用使用権の性質、効力等、契約の
    基本的な部分について十分に理解した上で契約を締結したとはいえないから、上
    告人と購入者全員との間において、上告人が専用使用権を分譲し、その対価を得
    ることについて、有効な合意が成立したと解することはできない。上告人による
    専用使用権の分譲は、その効力を否定すべきである。

   2 一方、委任契約に基づく委任事務を処理するにつき、受任者が、外形的に委任
    の範囲に属する行為を自己のためにする意思の下に行い、これにより金員を収受
    したときは、委任者は、受任者に対し、右金員を委任事務処理を行うにつき収受
    したものとして、受取物引渡請求権を行使することができると解される。

   3 本件の場合、上告人は、購入者から本件敷地の管理に関する業務を行うことの
    委任を受けていたものであり、本件敷地の一部につき特定の区分所有者のために
    駐車場として専用使用することを許諾した行為は、外形的に右委任業務の範囲に
    含まれるということができるから、購入者は、上告人が専用使用権分譲の対価と
    して収受した金員の引渡しを求めることができる。

   三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のと
    おりである。
   1 前記一の売買契約書、重要事項説明書、管理規約案の記載に照らすと、本件駐
    車場の専用使用権は、本件マンションの分譲に伴い、上告人が特定の区分所有者
    に分譲したものであるところ、右専用使用権を取得した特定の区分所有者は右駐
    車場を専用使用し得ることを、右専用使用権を取得しなかった区分所有者は右専
    用使用を承認すべきことをそれぞれ認識し理解していたことが明らかであり、分
    譲業者である上告人が、購入者の無思慮に乗じて専用使用権分譲代金の名の下に
    暴利を得たなど、専用使用権の分譲契約が公序良俗に反すると認めるべき事情も
    存しない。
     なお、本件のように、マンションの分譲に際し分譲業者が専用使用権を分譲し
    て対価を取得する取引形態は、好ましいものとはいえないが、このことのゆえに
    右契約の私法上の効力を否定することはできない。

   2 そして、右売買契約書の記載によれば、分譲業者である上告人は、営利の目的
    に基づき、自己の利益のために専用使用権を分譲し、その対価を受領したもので
    あって、専用使用権の分譲を受けた区分所有者もこれと同様の認識を有していた
    と解されるから、右対価は、売買契約書に基づく専用使用権分譲契約における合
    意の内容に従って上告人に帰属するものというべきである。この点に関し、上告
    人が、区分所有者全員の委任に基づき、その受任者として専用使用権の分譲を行
    ったと解することは、右専用使用権分譲契約における当事者の意思に反するもの
    であり、前記管理委託契約書の記載も右判断を左右しない。また、具体的な当事
    者の意思や契約書の文言に関係なく、およそマンションの分譲契約においては分
    譲業者が専用使用権の分譲を含めて包括的に管理組合ないし区分所有者全員の受
    任者的地位に立つと解することも、その根拠を欠くものといわなければならない。

   3 したがって、委任契約における受任者に対する委任事務処理上の金員引渡請求
    権に基づき右対価の引渡しを求める被上告人の予備的請求は、理由がない。

   四 そうすると、右と異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、
    この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は右の趣旨を
    いうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上に説示した
    ところによれば、被上告人の予備的請求は理由がないから、第一審判決中、右予
    備的請求に関する部分を取り消した上、これを棄却することとする。
 
     よって、裁判官遠藤光男の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主
    文のとおり判決する。

     裁判官遠藤光男の補足意見は、次のとおりである。
     私は、本件におけるマンション販売方式ないしマンション管理業務に関連して、
    若干補足して意見を述べておくこととしたい。

   一 分譲業者がマンションを分譲するに当たり、建物専有部分(敷地の共有持分
    を含む。)とは別に、駐車場の専用使用権を分譲してその対価を取得する販売方
    式については、(1)分譲業者が、購入者に対して分譲したはずの敷地について
    二重の利益を得ている疑いが持たれるのみならず、(2)マンション分譲後にお
    いても、専用使用権の譲渡、存続期間、有償化ないし使用料の増額などをめぐっ
    て専用使用権者と管理組合との間に紛争が生ずる等の問題の存することは、被上
    告人の指摘するとおりである。したがって、既に建設省が行政指導において明ら
    かにしているように、このような販売方式は好ましいものではなく、速やかに根
    絶されなければならないと考える。

     しかし、立法論や行政指導としてであれば格別、基本的に契約自由の原則が妥
    当する現行法の下における解釈論としては、おのずから限界があるものといわざ
    るを得ない。

   二 まず、(1)の二重の利益の点については、右の販売方式が分譲業者に常に二
    重の利益をもたらすものということはできない。分譲業者がマンションを分譲す
    るに際しては、まずもって、その原価、諸経費、利益金等を念頭に置き、分譲代
    金の総額を定めた上、各建物専有部分につきできる限り分譲しやすい販売価格を
    設定するべく、その一つの方法として、購入者のうち駐車場の使用を希望する者
    に対して駐車場専用使用権付きでマンションを分譲し、別途その対価を支払わせ
    ることによって、その分だけ建物専有部分を廉価に販売することも十分に考えら
    れるところである。このように価格の設定が経済的合理性に基づいて行われてい
    る限り、専用使用権の分譲代金は、自己の利益のために専用使用権を分譲した分
    譲業者に帰属するものと解するほかはない。原審の判示するように、価格の設定
    が合理的なものかどうかを判定するのは実際上容易なことではないが、このこと
    のゆえに、右の販売方式の効力を否定したり、分譲代金の帰属について当事者の
    意思と異なった解釈を採ることはできない。

     また、(2)の点については、このような問題が生ずる可能性があるからとい
    って、直ちに右の販売方式の私法上の効力を制限する解釈を採ることは困難とい
    うべきである。これらの問題は、別途、建物の区分所有等に関する法律の規定の
    解釈などを通じて、妥当な解決を図るほかはない。

   三 そうすると、購入者の無思慮に乗じ、専用使用権分譲代金の名の下に分譲業者
    が暴利を得ているような場合には、公序良俗違反(暴利行為)として専用使用権
    分譲契約自体の効力を否定することができ、また、分譲業者が二重の利益を得た
    ことが客観的に立証された場合には、不当利得返還請求を認めることができると
    しても、前記のような問題が存することのみに依拠して、契約当事者が合意の上
    で締結した専用使用権分譲契約の効力を否定すべきいわれはなく、いわんや、分
    譲業者において、管理組合が活動を開始するまでの間、管理業務の一部を代行し
    ている事実があるからといって、契約に明示された当事者の意思に反し、専用使
    用権の分譲までもが委任事務の一環であるとして、その収受金を委任事務処理上
    受領した金員と評価することなどはできない筋合いである。原判決の意図すると
    ころは理解し得ないではないが、結果的な妥当性を追求する余り、解釈論として
    の範囲を超えた無理な法律構成、法律解釈を採るものといわざるを得ない。

   四 私は、法廷意見も、以上の言わば現行法の下における解釈論上の当然の帰結を
    明らかにしたにとどまるものであり、本件の販売方式を積極的に容認したもので
    はないとの理解の下に、法廷意見に賛成するものである。





   駐車場の使用権(参考法令)

   区分所有法11条(共用部分の共有関係) 
   1 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これ
     を共用すべき区分所有者の共有に属する。 
   2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条
     第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めること
     はできない。
   3 民法第百七十七条 の規定は、共用部分には適用しない。 


   区分所有法12条
   1 共用部分が区分所有者の全員又はその一部の共有に属する場合には、その共用
     部分の共有については、次条から第十九条までに定めるところによる。 


   区分所有法13条(共用部分の使用) 
   1 各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。 


   区分所有法14条(共用部分の持分の割合) 
   1 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。 
   2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面
     積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべ
     き各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分
     所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。 
   3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積に
     よる。
    4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。 


   区分所有法15条(共用部分の持分の処分) 
   1 共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。 
   2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と
     分離して持分を処分することができない。 


   区分所有法16条(一部共用部分の管理) 
   1 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十
     一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれ
     を共用すべき区分所有者のみで行う。 


   区分所有法17条(共用部分の変更) 
   1 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は
     区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。た
     だし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。 
   2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼす
     べきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。 


   区分所有法18条(共用部分の管理) 
   1 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。
     ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。 
   2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。 
   3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。 
   4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみ
     なす。 

   区分所有法19条(共用部分の負担及び利益収取) 
   1 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担
     に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 


   区分所有法20条(管理所有者の権限) 
   1 第十一条第二項の規定により規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者
     は、区分所有者全員(一部共用部分については、これを共用すべき区分所有者)
     のためにその共用部分を管理する義務を負う。この場合には、それらの区分所
     有者に対し、相当な管理費用を請求することができる。 
   2 前項の共用部分の所有者は、第十七条第一項に規定する共用部分の変更をする
     ことができない。 


   区分所有法21条(共用部分に関する規定の準用) 
   1 建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区
     分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その
     敷地又は附属施設に準用する。 





















不動産取引サポート
みなみホームサービス
Copyright(C)2011.All rights reserved


                                page駐車場の使用権












不動産売却の手続の流れ

土地売却にかかる税金

土地売却の査定方法

不動産売却の諸費用

不動産売却の必要書類

相続不動産の売却方法

不動産専門家ネットワーク

ホーム・新着情報




 (みなみホームサービス)



不動産の譲渡所得税

売買契約書の印紙税

登記の登録免許税

固定資産税

不動産と消費税

居住用財産3000万控除

不動産取得税

居住用財産の買換え

都市計画税

居住用財産の損失繰越



不動産取引と成年後見

詐欺取消しと第三者

売買交渉中の契約解除

不動産取引と銀行の責任

売買予約権の譲渡

手付契約・解約手付

売買予約と解除

不動産売買と所有権移転

賃貸不動産の譲渡と敷金

遺産分割と登記

遺言と登記

時効完成前の譲渡

不動産の不法占拠者

時効完成後の譲渡

不動産売買と賃料請求

虚偽の登記と黙認

不動産売買と登記の効力

虚偽登記の所有者責任

借地権の対抗力

手付と解除

借地権の対抗力2

手付解除の要件

借地権の対抗力3

登記の抹消

借地権売買と売主の責任

面積不足と代金減額

瑕疵担保責任の消滅時効

面積超過と代金増額

契約外の材料と建物瑕疵

他人の不動産の売買

建物の瑕疵と損害賠償

買戻特約と譲渡担保

譲渡担保と受戻し

宅建業者の報酬

司法書士の義務

袋地の通行権

マンションの共用部分

農地の売買

マンション駐車場の権利

農地法の許可

マンションの専有部分



不動産購入の手続の流れ

相続と登記

駐車場の使用権

みなみホームサービス

不動産法律相談のご案内

権利書を紛失した時の対処


みなみホームサービスは、親
 切、丁寧なサ-ビスをご提供し
 ます。ご相談及び各手続は当
 事務所の専門家が行います
 ので安心です。



当事務所は、東京都墨田区
 錦糸町に事務所をおき、主に
 墨田区、江東区、東京都、
 埼玉県、千葉県、神奈川県に
 て営業しています。また、上記
 以外の地区にも出張可能で
 すので、遠方にお住まいの方
 もお気軽にお問合せ下さい。