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不動産売却に関する重要な判例 NO.43

農地法の許可
   裁判年月日 昭和55年02月29日 




   裁判所が判断した事項

    他人の農地の売買における買主が売主に対して有する農地法三条所定の所有権移
   転許可の申請協力請求権の消滅時効の起算点



   判決の内容

    他人の農地の売買における買主が売主に対して有する農地法三条所定の所有権移
   転許可の申請協力請求権の消滅時効は、売主が当該農地の所有権を取得した時から
   進行する。





   主文

    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人の負担とする。



   判決の理由

     農地の買主が売主に対して有する知事に対する農地所有権移転許可申請協力請
    求権(以下、単に許可申請協力請求権という。)は、民法一六七条一項所定の債
    権にあたり、右許可申請協力請求権は、その権利を行使することができる時から
    一〇年の経過により時効によつて消滅するものであることは、当裁判所の判例と
    するところ(最高裁昭和四九年(オ)第一一六四号同五〇年四月一一日第二小法
    廷判決・民集二九巻四号四一七頁)、他人の農地の売買の場合における買主の売
    主に対する右許可申請協力請求権の消滅時効は、売主が他人から当該農地の所有
    権を取得した時から進行するものと解するのが相当である。けだし、農地の売買
    に基づく農地法三条所定の知事に対する許可申請は、売主が農地の所有者である
    ことを前提として売主と買主の連名ですべきものとされているから(農地法施行
    規則四条二項)、売主が他人から当該農地の所有権を取得しないかぎり、売主は
    右許可申請手続をとることができず、買主の有する右許可申請協力請求権は、売
    主が知事の許可を得て他人から当該農地の所有権を取得した時に始めてこれを行
    使することができるものとなるからである。

     これを本件についてみるに、本訴は、上告人が昭和三五年三月二五日被上告人
    から訴外Dの所有である本件農地を買い受けたとして、被上告人に対し右農地に
    つき愛知県知事に対する農地法三条所定の許可申請手続をすることを求めるもの
    であるが、被上告人は、昭和三六年三月一五日右Dから右農地を買い受けたうえ
    同年七月二八日愛知県知事から右農地の所有権移転の許可を受けてその所有権を
    取得したというのであるから、上告人の被上告人に対する右許可申請協力請求権
    は、被上告人が右Dから右農地の所有権を取得した昭和三六年七月二八日より一
    〇年の経過によつて時効により消滅したものといわなければならない。
     それゆえ、これと結論において同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論
    の違法はない。論旨は、採用することができない。

     同第三点及び第四点について
     記録にあらわれた本件訴訟の経過に照らすと、所論許可申請協力請求権の消滅
    時効の中断について釈明権を行使せず、又その点について審理しなかつた原判決
    に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

     同第五点について
     本件事案の内容に鑑みると、原審が上告人主張の売買契約の成否について判断
    するに先だち被上告人の許可申請協力請求権の時効消滅の抗弁について判断した
    としても、違法を来すものではなく、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用
    することができない。
     よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、
    主文のとおり判決する。





   農地法の許可(参考法令)

   民法166条(消滅時効の進行等) 
   1 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。 
   2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者の
     ために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし
     権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることがで
     きる。 


   民法560条(他人の権利の売買における売主の義務) 
   1 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移
     転する義務を負う。 


   農地法3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限) 
   1 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、
     使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利
     を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が
     農業委員会の許可(これらの権利を取得する者(政令で定める者を除く。)が
     その住所のある市町村の区域の外にある農地又は採草放牧地について権利を取
     得する場合その他政令で定める場合には、都道府県知事の許可)を受けなけれ
     ばならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本
     文に規定する場合は、この限りでない。 
     (以下省略)
















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